近年、さまざまなところで木造倉庫の建築が進んでいます。小規模な建物だけでなく、大規模な木造建築も増えつつあります。
そこで、今回は「木造建築の発展」をテーマに、木造建築の実例や大阪万博の世界最大級の木造建築物などを見ていきましょう。
さらに、記事の後半では木造倉庫についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
木造建築の発展
木造建築は、古くから人類の住居や建物の構造として広く使用されてきました。その歴史は、古代の簡素な小屋や小道具を使用した建築から始まり、時代を経るごとに技術やデザインが進化してきました。
とくに日本においては、木材が豊富に存在し、木造建築は文化的にも深く根付いています。
木造建築の発展は、まず材料としての木の特性に着目することからはじまったといわれています。木材は軽量で加工がしやすく、さらに断熱性や耐震性に優れているため、古くから住居や寺院、神社などに使用されてきました。
日本の伝統的な建築様式では、木材を活かした美しいデザインが特徴です。屋根の曲線や柱の立ち姿、さらには木材の風合いが、自然との調和を感じさせる要素となり、木造建築の魅力を高めてきました。
また、木造建築の技術も進化を遂げました。たとえば、木材を組み合わせて強度を高めるために用いられる「木組み」や、「桁」や「梁」などの構造的な工夫が重要な役割を果たしています。
これにより、木造建築は単に美しいだけでなく、優れた強度を維持できるのです。とくに、日本の伝統的な木造建築では地震の多い地域において、木材の柔軟性が生かされ、耐震性が高いことが大きな利点として認識されています。
そして、近代に入ると、鉄筋コンクリートや鉄鋼などの新しい建築材料が登場し、木造建築の代わりにコンクリートや鉄骨が使われるようになりました。
21世紀に入り、環境への配慮が高まる中で木材の再評価が進み、持続可能な建築材料としての木造建築の重要性が再認識されましたのです。とくに、「カーボンニュートラル」や「温暖化防止」といった環境保全の観点から、木材の使用はCO2の吸収源としても注目されています。
また、技術の進歩により、木材の強度や耐久性も向上し、大規模な木造建築が可能となりました。
最近では、環境に優しい建材としての木材の可能性が広がり、木造マンションやオフィスビルなどの建設が進んでいます。このように、木造建築は今後もその発展を続け、持続可能な未来の建築様式としてさらに注目されていくことでしょう。
現代の木造建築の実例
ここでは、現代の木造建築の実例を見ていきましょう。
国立競技場・東京
東京都にある国立競技場は、奈良県の法隆寺にインスパイアされたといわれており、屋根や軒庇に木材が使用されています。カラマツやスギといった国産木材が約2,000㎡も使用されているのが特徴です。
さらに、使用されている木材は森林認証を受けており、環境にも配慮されていることがわかります。
有明体操競技場・東京
国立競技場と同じく、東京都にある有明体操競技場は一部が木造となっています。2020年の東京オリンピック時に体操競技会場として作られたものであり、オリンピック後は有明展示場として改修されました。
約90mといった世界最大級のスパンが設けられた複合式張弦梁構造の木造屋根が特徴的です。
屋久島町庁舎・鹿児島
鹿児島県にある屋久島町庁舎もデザイン性の高い木造建築として知られています。地元の建設会社が地元の杉を使って建てた建築物です。
深い軒が特徴的で、室内には地元の杉の製材を活用した架構が並び、意匠性の高い仕上がりになっています。
木造建築の歴史的建造物
ここまでは、現代の木造建築について見てきました。
ここからは歴史的な木造建築物について見ていきましょう。
五重塔・京都
京都の五重塔は木造建築の代表的な歴史的建造物であり、重要な文化財です。平安時代に建立されたもので、寺院の象徴的存在として多くの人々に親しまれています。
五重塔は、木材を使った伝統的な建築技法が駆使されており、塔の構造は強度を高めるために巧妙に設計されています。とくに、塔の各階を支える梁や柱の組み合わせは、地震の多い日本においてその耐久性を証明しているといえるでしょう。
また、五重塔の美しい外観も大きな魅力で、木材の温かみと精緻な彫刻が調和し、観る者に深い感動を与えます。長い歴史を経てもなお、その優れた技術と美しさを保ち続けています。
法隆寺・奈良県
奈良県の法隆寺は木造建築の象徴的な存在であり、日本の古代建築技術の高さを示す重要な文化遺産です。推古天皇の時代に建立され、世界最古の木造建築としても知られています。
木材を巧みに組み合わせた構造が特徴的で、強度を保ちながら美しい形を作り出しています。当時の優れた木工技術や建築の知恵を反映しており、木材の特性を最大限に活かした設計が特徴といえるでしょう。
法隆寺の木造建築は、耐久性と美しさを兼ね備え、今なお多くの人々に感動を与え続けています。
大阪万博に世界最大級の木造建築物が誕生!?
引用:Japan Association for the 2025 World Exposition “https://www.expo2025.or.jp/news/news-20220713-01/“.
2025年に大阪府において、日本国際博覧会(通称:大阪・関西万博)が開催されます。大阪・関西万博のシンボルとして、「大屋根リング」が建てられる予定であり、2025年1月現在、工事が進んでいます。
大屋根リングは円形状に109個の木造架構ユニットをつなぎ合わせて作られており、幅は約30m、高さは約20m、内径は約615m、周長は約2kmとなっており、世界最大級の木造建築です。
また、各工区によって異なる技法や木材が使われているのも大阪・関西万博の特徴といえるでしょう。たとえば、PW北東工区では、日本の伝統的な工法のひとつである貫接合が採用されています。
さらに、柱材の約50%に四国産の檜、梁材の100%に福島産の杉が使用されています。
床材には四国産の檜と杉を加工して集成板が使われており、いたるところに国産材が使用されているのが特徴です。
倉庫にも木造建築が採用される
日本には法隆寺や五重塔といった歴史的な木造建築物に加え、国立競技場や有明体操競技場といった現代の木造建築物があります。
さらに、2025年には大阪で開催される日本国際博覧会のシンボルとして世界最大級の木造建築が建てられます。
古くから続く伝統的な技法と現代の技術が融合されることで、大規模な木造建築が身近な存在になりつつあるでしょう。さらに、昨今は従来の鉄骨造倉庫やテント倉庫の代わりに木造倉庫を選択するといったケースもあります。
木造は金属よりも優れた断熱性能を誇り、適度に音を吸収してくれることから、快適な室内環境を維持しやすいのが特徴です。さらに、天然木の香りや木材特有の調湿効果を期待できるのも魅力のひとつといえるでしょう。
木造倉庫のメリット
ここでは、木造倉庫のメリットとして、以下の3つについて詳しく見ていきましょう。
- 低コストで建てられる
- 企業価値の向上を期待できる
- 節税効果がある
木造倉庫のメリット①|低コストで建てられる
木造倉庫は一般的な鉄骨造倉庫よりも低コストで建てられるのがメリットです。国土交通省によると、鉄骨造倉庫の1坪あたりの建設費用は54.5万円となっています。
一方、愛知県で木造倉庫建設を得意としているHC Home’sであれば、1坪あたり25万円から建設可能です。同じ規模の倉庫であっても、鉄骨造倉庫と木造倉庫では後者のほうが建築費用を抑えられるのがメリットといえるでしょう。
木造倉庫のメリット②|企業価値の向上を期待できる
対外的な企業評価や価値を高められるのも木造倉庫のメリットのひとつです。木造倉庫は再生可能な木材を使用しており、環境に配慮していることをPRすることができます。
実際、国立競技場や屋久島町庁舎、大阪・関西万博の大屋根リングも、木造建築として幅広いところで評価されているのです。木造倉庫を建てることで、対外的にアピールすることができ、結果的に自社の価値を向上することを期待できるでしょう。
木造倉庫のメリット③|節税効果がある
木造倉庫は鉄骨造倉庫と比べて、減価償却年数が早いのが特徴です。そのため、1年間で償却できる割合が増えることから、節税効果を期待できます。
鉄骨造倉庫の減価償却年数は31年なのに対し、木造倉庫は15年であることから、約半分の年数で償却することが可能です。
木造倉庫のデメリット
木造倉庫の建築を検討するうえで、メリットだけでなくデメリットについても把握しておくことが大切です。
ここでは、木造倉庫のデメリットとして、以下の2点について詳しく見ていきましょう。
- シロアリ対策が必要
- 対応業者が少ない
木造倉庫のデメリット①|シロアリ対策が必要
木造倉庫を含む木造建築はシロアリ対策が必要です。木材がシロアリなどの害虫に侵食されると、強度が下がってしまい、耐震性などに影響するリスクがあります。
ただ、建設時はもちろん、建設後も定期的にメンテナンスをおこなうことでしっかりと対策することが可能です。実際、日本最古の木造建築といわれている法隆寺もこまめにメンテナンスされていることで、1,000年以上もの歴史があるのです。
木造倉庫のデメリット②|対応業者が少ない
木造倉庫など、規模にかかわらず木造建築物が注目されています。ただし、エリアによっては従来の鉄骨造倉庫と比べると、木造倉庫に対応している業者が少ないといったケースがあります。
木造倉庫を建てたいと思っていても、近くに木造倉庫を建てられる業者がいない場合もあるでしょう。
なお、HC Home’sは愛知県において木造倉庫の建設に対応しています。無料見積もりにも対応しているので、鉄骨造倉庫とぜひ比較してみてください。
木造倉庫は専門業者に相談しよう!
木造倉庫の見積もりは専門業者に相談することをおすすめします。木造倉庫の建設では、木材の選定に加え、綿密な設計が重要です。
HC Home’sでは、LVLトラスを採用しており、20m以上のスパンをつくることが可能です。また、高強度で耐久性の高いTJIジョイストを採用することで、建材の均一性が保たれ、品質の高い倉庫を安定して提供することができます。
*LVLトラスとは、高強度のエンジニアリングウッドです。
*TJIジョイストとは、製造工程において徹底した品質管理がおこなわれており、製品が均一に保たれているのが特徴です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は「木造建築の発展」をテーマに、現代の木造建築や歴史的な木造建築物について紹介しました。さらに、記事の後半では木造倉庫についても併せて紹介しました。
日本の木造建築の技術の高さは世界的にも評価されています。大阪・関西万博では大屋根リングといった世界最大級の木造建築物が建てられます。
今後も、さまざまなところで木造建築が増えていくでしょう。木造倉庫もそのひとつであり、低コストで建てられる木造倉庫の需要がますます増えていくことが予想されます。