倉庫を建てようと検討を進めるなかで、「内装制限」という言葉を見たり、聞いたりしたことがある方もいるでしょう。そこで、今回は倉庫の3つの分類に加え、建築基準法における内装制限について解説します。
倉庫は3つに分類できる
建築基準法における内装制限について解説するまえに、倉庫の分類について見ていきましょう。
法令上で倉庫の種類が分類されているわけではありませんが、一般的には以下の3つに分けることができます。
- 営業用倉庫
- 自家用倉庫
- 小規模倉庫
営業用倉庫
営業用倉庫とは、文字通り営業目的で使用する倉庫のことであり、一般的には倉庫業などで使用する倉庫が該当します。営業用倉庫は建築基準法において、「特殊建築物」に該当します。
特殊建築物に該当することから、防火に関する規定が設けられることに加え、低層住居専用地域などでは建築することができません。
自家用倉庫
自家用倉庫は自社の在庫や荷物などを保管するために使用する倉庫のことをいいます。個人宅などで設置される物置についても自家用倉庫に該当します。
営業目的で使用するわけではないので、原則、「特殊建築物」には該当しません。
小規模倉庫
営業用倉庫や自家用倉庫のほかに、小規模倉庫があります。小規模倉庫は、以下の基準内のものが該当します。
“奥行が1m以下かつ高さが2.3m以下で、床面積が2㎡以内の規模”
なお、土地に自立するものという条件もあるので、留意しておきましょう。こちらの小規模倉庫についても、自家用倉庫と同様に個人宅等で使用されている物置倉庫が含まれます。
建築基準法における内装制限とは
建築基準法は、建物や施設を安全で快適に利用できるように定められた法律です。この法律の目的は、建築物が自然災害や事故によって倒壊したり、火災が広がったりするリスクを減らし、また住民や利用者の安全を守ることにあります。建物の設計や施工に関して、細かい規制を設け、建物の構造、用途、規模、耐震性、消防設備、通風や日照の確保など、多岐にわたる基準を設けています。
たとえば、地震が多い日本では、建物が地震に耐えられるように、一定の強度を求められます。また、火災が起こった場合に被害を最小限に抑えるために、建物の構造や避難経路、消火設備なども厳しく規定されています。さらに、周囲の環境に適した建築物の高さや形状、建物の間隔なども考慮されています。
そして、建築基準法では、「内装制限」というものがあり、建築基準法施工令第112条、第128条、第129条などで定められています。
内装制限|対象となる倉庫で使用する材料
壁や天井が1.2m以下の倉庫の場合、内装制限の対象外となります。それ以外については内装制限の対象となりますが、耐火建築物か準耐火建築物かによっても制限が異なります。
内装制限の対象となる倉庫の場合、壁や天井で使用する仕上げ材に不燃材や準不燃材を使用しなければなりません。
不燃材料 | 準不燃材料 |
コンクリート | 厚さが9mm以上の石膏ボード |
れんが | 厚さが9mm以上の硬質木片セメント板 |
瓦 | 厚さが6mm以上のパルプセメント板 |
繊維強化セメント板 | 厚さが15mm以上の木毛セメント板 |
陶磁器質タイル | 厚さが30mm以上の木片セメント板 |
鉄鋼 | |
金属板 | |
ガラス | |
しっくい | |
石 | |
モルタル | |
ロックウール | |
そのほか |
内装制限は法令で定められているものであり、倉庫の建築および内装についても建築基準法に満たす必要があります。万一、建築基準法に満たさない場合は罰則の対象となるだけでなく、大きな事故につながるリスクも否めません。
そのため、倉庫を建築するときは、建築基準法に満たしていることが大前提ということを留意しておきましょう。
内装制限の注意点
建築基準法における内装制限を満たしていないと、法令違反となり行政指導が入る可能性があります。また、建物自体が基準に満たしていないことから、従業員を危険な目にさらしてしまう可能性があるのです。
そのため、倉庫を建築するときは内装制限を含む、建築基準法に満たしておかなければなりません。
内装制限の対象となる倉庫を建築する場合、不燃材や準不燃材を使用する必要があります。もし、内装に木材を使用する場合は、内装制限をクリアした木材を使用しなければなりません。
とはいえ、世界的に建築物の木質化が進められており、日本国内においても建築基準法における木造建築物の防火関係規定が緩和されているのです。
技術の進歩により、燃えにくい木材が多数出てきており、内装制限の対象となる倉庫でも使用できる木材が多くあるのです。さらに、昨今は木造倉庫といった鉄骨造倉庫よりもコストを抑えて建てられる倉庫も増えつつあります。
まとめ|木造倉庫は専門業者に相談
近年は木造倉庫が注目されつつあります。木造倉庫のメリットとして、「低コスト」「企業価値の向上」「大空間を実現」「減価償却年数の早さ」などが挙げられます。
鉄骨造倉庫よりも法定耐用年数が短いので短期間で費用計上でき、節税効果を期待できるでしょう。そのほか、木造倉庫を得意としているHC.Home’sであれば1坪あたり25万円から建設できるので、予算を抑えて倉庫を建てられるのも魅力のひとつです。
木造倉庫の建設を検討している方は、ぜひHC.Home’sにご相談ください。